ボクシングのアッパーの打ち方|コツは踏み込み

ボクシングのアッパーの打ち方|コツは踏み込み

左アッパーの打ち方

左アッパーとは、前手である左拳を相手の死角となる真下から直線的に突き上げるパンチです。見え難いパンチというメリットのほかに、相手のガードの隙間をかい潜って急所であるアゴや喉を捉えることが可能となります。ただし左アッパーはもろ刃の剣で、パンチを繰り出す時のモーションが大きくなってしまう事、また自分もガードを下げた状態にならなければいけないために、相手に攻撃のすきを与えてしまうことが弱点です。実戦でも、相手からカウンターのストレートをもらう場面がよくあります。

 

スポンサードリンク

 

アゴなどの上部への基本的な打ち方

右利きの方は、まずファイティングポーズの姿勢から右半身を反時計回りに前方へひねります。そしてほんのコンマ何秒かパワーを溜めながら、左拳を深く下に沈み込ませます。
この動作は相手に気付かれやすいために、フォローとして右グローブをちょっと前に出して、相手の視界を遮るようにしましょう。もし相手に動作を見切られてしまうと、最短距離の左ジャブで攻撃を阻止されるか、場合によっては右ストレートのキツイ一発をもらいかねません。

 

右の肩を前に出し、ほんの気持ち重心を下げながら左拳を下します。そして間髪を入れずに垂直に拳を突き上げ、相手の喉元に突き刺すようにパンチを当てるのです。ただし、フォロースルーはヒットポイントで止めるイメージになります。その位置で最大のパワーが発揮されるように、しっかり左肩を入れるのもコツです。

 

ボディなど下部への基本的な打ち方

基本的な打ち方は上部へのアッパーと同じです。ただし、ヒットポイントが低くなるために、パンチの軌道を変えなければいけません。とは言っても、フックの場合のように膝の曲げ具合で高さをコントロールしてはいけません。軸足の左膝は大きく屈伸させないようにします。

 

左アッパーを打つ際の注意点
左アッパーを打つ前に左へ体を傾ける

アッパーカットはモーションに入る動作が大きいために、相手に気付かれやすいデメリットがあり、その隙にカウンターをもらう可能性があります。そこでカウンター攻撃を受け難いポジションに移動して、ディフェンスを整えながらパンチを繰り出す必要があります。最も警戒すべきは相手の右ストレートのカウンターです。これを避けるためにやや左に体をずらして、そこからパンチを繰り出すと効果的です。

 

下部への左アッパーはジャブとして有効

下部への左アッパーは前手で打つパンチで、ミドルレンジの攻撃に有効なパンチです。そのため利き腕の右手よりも破壊力は劣りますが、最短距離の素早いパンチが繰り出せることから、相手のバランスを崩すとか、攻撃を停める目的でジャブとして打つ効果があります。その際は上部へのアッパーのように体を溜めずに、左肘を45度に固定して、クイックリーに拳を突き上げます。

 

左腕を相手の胴体に密着させて打つ左アッパー

アゴ・喉元を狙った左アッパーには、先に説明した基本的な打ち方とは違う種類のパンチもあります。威力こそありませんが、相手の重心を持ち上げて体を不安定にする効果などが得られるパンチです。打ち方ですが、まず相手の胴体に左前腕を押し付けて、そのまま体をこする感じで左拳を突き上げます。溜めや膝・腰の反動は意識せず、肩で打ち込むショートアッパーです。

 

スポンサードリンク

 

踏み込みと同時に撃つ

アッパーはヒットポイントまで肘を曲げた状態になるパンチですから、基本的にクロスレンジ・近距離の状態でなければ相手に拳が届きません。そこでミドルレンジから一歩前へ踏み込んで打つケースが多いのですが、ただでさえモーションの大きなアッパーカットですから、この踏込によって相手に攻撃を察知されてしまうリスクが高まります。プロのボクサーはそのタイムラグを縮めるために、踏込と同時にアッパーを繰り出します。この場合は踏み出した足を踵から着地させて爪先へと体重移動しつつ、その流れをパワーに転嫁させながら左アッパーを打ち込むのがコツです。つまり「イチとニ」のタイミングではなくて、「イチ二」に時間を短縮してパンチを繰り出す感じです。

 

 

右アッパーの打ち方

右アッパーは利き腕から繰り出されるために、左アッパーよりもさらに破壊力の強いパンチになります。フィニッシュブローとして得意技にしているプロボクサーも少なくありません。打ち方の基本は左アッパーとほぼ同様ですが、後ろ手である右拳を右半身ごと前に送り出して打つため、左アッパー以上に大きなモーションになるのが注意すべきポイントです。

 

アゴや喉など上部への打ち方

基本的な体の使い方は右ストレートと同様ですが、右肘を曲げた状態で拳をヒットポイントまで持っていくので、相手との距離をしっかりと詰めなければいけません。つまり、前足に当たる左足を一歩踏み込んで、確実にヒットポイントに拳を到達させます。この時点では、互いがクロスレンジのポジションになるということです。一歩踏み込みつつ右拳を素早く下げて、踏込の反動を利用して鋭く右拳を相手の喉元に突き刺します。

 

レバーやストマックなど下部への打ち方

体の使い方は上部への右アッパーと変わりません。ですが、ヒットポイントが低い位置にあるために、自分の体の重心も落とさなければなりません。それで踏み込んだ時に膝をかがめて高さ調節をするのがポイントです。この調整をしっかりとやらないと、正しい形でアッパーを叩き込むことができなくなって、同時に威力も半減してしまいます。

 

右アッパーを打つ際の注意点
をいくつかピックアップしてみましょう。
超クロスレンジでの右ショートアッパー

左アッパーの場合と同じように、右アッパーでも相手に体をくっつけてアッパーを繰り出す事ができます。右上腕部を相手の腹部に密着させて、そこから真っ直ぐアゴに向かって拳を突き上げるアッパーです。注意点は、密着状態にあっても自分の懐の空間を確保する事です。腕の振りが十分に可能な空間をキープして、押し当てた右腕を相手の体に沿って滑り上げます。

 

このパンチはクリンチの時に良く使われます。もみ合うようなクリンチ状態から、自分の頭を使って懐部分に空間を作ります。これが右拳を下から突き上げる軌道の確保になるという訳です。その時にアゴを直接狙うよりも、自分の耳のあたりに拳を繰り出す感じがベストです。この軌道は相手の死角となって命中率がアップします。

 

スポンサードリンク

 

右アッパーなどに関するQ&A
Q:右拳の角度はどんな形に固定する?

A:前腕部と手首を繋いでいる関節には、親指側に橈骨と小指側に尺骨がありますが、この2つの骨が手の甲と一直線上になる角度で拳を握ると良いでしょう。つまり、拳を心持ち内側に曲げる形で固定するとパンチ力が分散せず、一直線に相手の体へと突き抜けていきます。また、この手首の形は安定性が高いので、衝突時に手首が緩んで怪我を負うリスクが低くなります。ただし、ボクサーによっては手首をガッチリと固定するのを嫌う場合もあります。これは人によって適・不適があるので、自分の場合はどうするかも考えておいてください。

 

Q:拳をねじる時とねじらない時のポイントは?

A:右アッパーを叩き込む瞬間に、拳をねじる方法があります。これはアッパーの直線的な力の加わり方に、コークスクリュー式の螺旋運動を加えて、パンチ力の倍増を計る時に行われます。このパンチがヒットすれば、相手の脳を大きく揺らす効果が発揮され、相手はかなりのダメージを受けることになります。

 

また相手のガードが軌道を邪魔している場合は、横拳のまま拳をねじらずに叩き込む事もあります。グローブが大きい場合は特に相手のガードにぶつかってしまい、的確にヒットできないことがままあるのです。この様に拳をねじるかねじらないかは、その時の状況やダメージの与え方によって工夫します。

 

Q:拳をガッチリと握り込むタイミングは?

A:どのパンチにおいても、基本姿勢の時に拳を固く握る必要はありません。その様な緊張した状態では体の反応スピードが鈍ってしまい、素早い動きが望めません。ですから、構えからパンチを繰り出すモーションの段階では、基本的に拳を緩めておくべきです。そしてヒットの瞬間にグっと拳を握り込みます。パンチの当たる瞬間に近い程、握り込む時の運動エネルギーが拳にプラスされて、より強いパンチを生み出します。

 

プロボクサーのパンチ力は強靭な握力によって生み出されるとも言われます。もちろん全身のバネが連動して初めて強力なパンチになるのですが、ヒットの瞬間の握り込みが弱いと威力が半減するという事です。また、いくら握力が強くてもパンチを繰り出す時から握り込んでいては、踏込・腰のひねり・上半身の反動・腕の振りと積み重ねるように加算されてきたパワーをせき止めてしまいます。つまり、拳が相手に当たる瞬間にグッと握り込むのがベストです。

 

Q:拳を握るタイミングを覚える良いトレーニング法は?

A:シャドーボクシングです。いわゆるイメージトレーニングになりますが、パンチを繰り出す時に握りを意識してみましょう。実際に拳を握る瞬間の動作で、グっと音が聞こえるまでになれば、良いタイミングが掴めてきた証拠となります。ちなみにグっという音・感触を出すには、相当のスピードで拳を握り込む必要があります。これはムチの先端をパチンと鳴らすのにも似ていて、拳がヒットポイントに到達した瞬間に握り混むのがベストなのです。練習の時はパーの状態からグーへと握り込むようにしてください。これでさらにスピードアップが期待できます。

 

スポンサードリンク


 
基本 トレーニング ストレートの打ち方 ジャブの打ち方 テクニック ガード