ボクシングでの全身持久力のトレーニング方法

ボクシングでの全身持久力のトレーニング方法

ボクシングでの全身持久力のトレーニング方法

スタミナ(持久力)を正確に言いますと、一つは筋肉の持久力(筋持久力)で、長時間働ける粘りのある筋肉造りが必要です。そしてもうひとつが心肺機能の持久力(全身持久力)で、激しい運動を長時間継続しても、効率よく呼吸ができる心肺を鍛えます。この心配を鍛えるトレーニング法を詳しく見てみましょう。

 

毎日繰り返すロードワークのメニュー

ボクサーのロードワークというと、野外をジョギングすると考えている方は多いでしょう。ですが、単調にジョギングをするだけではボクシングに適したスタミナを造ることが難しいですし、なによりもモチベーションが下がってしまう心配もあります。一般的にボクサーは、様々な手法でロードワークを工夫しています。その一例を紹介しましょう。

 

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月曜日:持久走(30~40キロのジョギング)

ロードワークの基本ですが、これに緩急の変化を工夫します。まず出だしのビルドアップ走では、4kmほどを1キロ5分のベースでゆっくりと走ります。その後1キロにつき10秒のペースアップをしていって1キロ4分ぐらいで走り続けます。そしてラスト1,2キロの距離をダッシュで走り抜けるといった感じにします。またはLSD (選手の試合時の心拍数以上で走り続ける方法)もあります。この時は75~100分を目安に長い距離を走ると良いでしょう。

 

火曜日:スピード練習(短距離のダッシュをたっぷり繰り返す)

50m(100mでも良い)ダッシュを1本走り、その次の50mは軽いジョギングで流します。これを30~40本(100mダッシュは20本)繰り返して瞬発力の強化を図ります。試合中にラッシュを掛ける場合、苦しい状態から全力をしぼり出す必要があります。この練習はその対策に有効です。ポイントは不完全回復の体力からポテンシャルを最大限までアップさせることです。ダッシュによって上がった心拍数を落とさずに、次のダッシュを始めるタイミングをキープするのがコツです。ただし、ボクサーが全力疾走できる距離は60mが良いところで、100mダッシュでは後半ダッシュにならない可能性が高いでしょう。そこで基本は50m・60mのダッシュを多用するべきです。例えば60mダッシュと15秒のジョギングを7本繰り返して3分(1ラウンド)です。これを試合のラウンド数に合わせたセット数を行うと良いでしょう。

 

水曜日・土曜日:持久的スピード

ハイスピード状態の持久力を付ける練習です。800~5000mのダッシュを複数本繰り返します。この際の目安として、1000m・3分のペースをキープさせることです。つまり800mなら2分24秒、そしてインターバルとして1~1分半を取って5~8本繰り返します。インターバルには2~300mのジョギングを挟むのも効果的でしょう。また5000mのタイムトライアルを定期的に行って、選手のコンディションをチェックします。

 

木曜日:休養的ジョギング

この日はしっかりと汗をかくということを目的に、選手のペースでジョギング的なロードワークをします。30分くらいのジョギングなら疲労回復にも貢献してくれるでしょう。

 

金曜日:スピード及び特殊負荷

特殊負荷とは、平地を走るのではなく、階段やアップダウンのある山間部をコースに採ります。これで筋肉と心肺の両面に適切な負荷を掛けていくのです。よくあるパターンとして、小高い丘を利用して勾配のキツイ昇り坂をゆっくりペース(秒速50cm前後)で腿上げ走りをして、平坦なコースになったら100mの全力疾走を掛けます。後はジョギングで流して、下り坂は勢いのまま一気に駆け降りるというヒル・トレールがおすすめです。これを1時間ほど繰り返すと良い効果が得られます。

 

こんな感じで1週間のメニューを組むと、徐々にボクサー的な持久力を養うことが可能です。実戦でラッシュの後に素早く体力回復を図れるように、根気よくこなしていくべきトレーニングです。例えトレーナーやパートナーがいない状況でも、ストップウオッチや心拍計などを利用して、個人でも十分にこなせるトレーニング法だと選手に理解させましょう。

 

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サンドバッグ打ちを3分で止めては持久力アップになりません

ジムワークでも持久力養成の工夫は必要です。例えばサンドバッグ打ちで、1ラウンドの3分刻みで練習するのは不十分です。実際の試合は相手の動きに応じて、より細かな動きや洞察を行っています。このエネルギー消費量をカバーするならば、サンドバッグ打ちを4分以上にするべきでしょう。この1分間の延長が、3分フルタイムで戦える持久力を与えてくれます。

 

〇ロードワークでもジムワークでも、レベルの高い無酸素運動を取り入れる事によって、筋肉に溜まった乳酸の排除力が養われたり、ダメージからの回復力が高まったりします。長時間の激しい運動を繰り返す多用な練習方法で、身体をアグレッシブに変化させる効果があります。

 

〇分かりやすく説明しますと、サンドバッグ打ちでは5秒間の全力ラッシュと25秒間前後のインターバルを交互に繰り返すと効果的です。このセットを30回繰り返します。またラッシュ時間を選手の体力状態に応じて3秒にしたり、2秒にしたりしていくこともポイントです。力の無いラッシュを繰り返しても意味がありません。切れの良いパンチが出ているかどうか、トレーナーが的確に判断するようにしましょう。基本的にラッシュは無酸素運動が大原則で、全力で連打する限界は5秒と考えて良いでしょう。

 

〇1ラウンドの長さを延長していく練習は必要です。4分から5分へ、そうして10分くらいまでサンドバッグ打ちを継続します。最終的に10分間をフルパワーで叩ける体力まで持っていきます。10分間のサンドバッグ打ちでは5分のインターバルを設定して、これを3セット繰り返してみてください。将来的には30分とか60分のサンドバッグ打ちも視野に入れてやっていきましょう。また、ただ闇雲にサンドバッグを叩かせるのではなく、1分間で何発パンチを打っているかをカウントしてください。そして同じコンビネーションの繰り返しパターンと、様々なコンビネーションを織り交ぜるパターンにも分けてみます。単純なパターンの繰り返しならば、1分間に180発、1秒間に3発のペースでパンチが打つのが普通です。ここもヒル・トレール走のパターンでアレンジができます。例えば30分間サンドバッグ打ちの場合、始めの5分間は1分間に180発のペース、次の5分間では10発アップの190発、この様に手数を上げていき、最後の5分間に毎分240発のラッシュを叩き込むようにします。ポイントは正確に毎分のパンチ数をカウントすることです。毎回データを取って、選手と確認し合って精度を高めていきましょう。

 

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