ボクシングのディフェンスの種類|基本テクニックとコツは?

ボクシングのディフェンスの種類|基本テクニックとコツは?

ボクシングでは如何に相手から撃たれずに、適確に攻撃できるかが勝敗を大きく左右します。つまり防御(ディフェンス)のテクニックを磨くことも非常に需要な要素なのです。ここでは基本的なディフェンスのテクニックをはじめとして、実戦で役に立つ防御術について説明します。

 

パーリング

パーリングとは自分のグローブや上腕を使って相手のパンチを防ぐディフェンス方法です。特にストレート系のパンチを防御するのに有効で、ファイティングポーズから相手のストレートの拳を叩くようにしてヒットポイントを外させます。この場合に、完全に避けきらなくても良いのがミソで、基本的にはヒットポイントを拳ひとつ分外せればOKとします。つまり、急所以外の部分に威力の削がれたパンチが当たる分には問題にしません。

 

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極力小さな動作でパーリングをする

パーリングの動作は極力小さくするのがコツです。もちろん、瞬間的に強い力で相手の拳を鋭く叩くようにします。また左パンチには右のグローブで、右パンチなら左のグローブで叩くのが基本です。

 

前腕を使った大きなパーリング動作は危険

パーリングでは上腕を振る程大きな動作は危険です。腕を振って相手のパンチを叩き落そうとした場合、もしそれがフェイントだとしたら、空振りをして顔面ががら空きになってしまうかもしれません。そこにカウンターのストレートが飛んできたら一気にKOされてしまうので要注意です。

 

交差パーリングは基本的にNG

試合中は練習通りに行かない事が多々あります。パーリングの基本は右パンチを左手で防ぐのがセオリーですが、咄嗟に左パンチに対して左手で防御してしまうこともあるでしょう。その際に、勢い余ってパーリング動作が大きくなる可能性はあります。これはかなり危険度の高いミスになり得ます。

 

つまり左のパンチを自分の左手で交わすなら、その時に左手が守っていた左側の急所ががら空きになってしまいます。相手から見ると、パンチを出していない右手側がノーガード状態になるという事で、間髪入れずに右ストレートや右フックが繰り出せる絶好のチャンスに他なりません。ちゃんと左手でパーリングしていれば、相手のフリーな右拳にチャンスを与える隙が生れないということです。

 

 

ブロッキング

ブロッキングとは正面からではなく変速的に左右から飛んでくるパンチを防ぐのに有効なディフェンス・テクニックです。パーリングとの違いは、グローブの掌部分や上腕や肩で相手の攻撃を受ける防御法だということです。掌によるブロッキングの場合は、相手のパンチを横に弾くようにして相手の体勢を崩す効果もあります。またフックをブロッキングする場合は、相手の上腕部分を自分の腕で押し返すと外れません。ただしブロッキングでは、ガードの隙間をついてパンチが侵入してくる危険性を常に意識しておきましょう。

 

Q:完全に頭全体をガードするブロッキングは可能?

A:両手で頭全体を抱え込むようにブロックすることはできます。ですが、そういったブロッキングでも、ブロックを剥がすような形でパンチが撃ち込まれればガードに穴が開きます。あるいは十分に体勢を整えて、ブロックごと弾いてしまうパンチを打つことも可能です。つまり現実的な防御にはなりません。

 

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ブロッキングでフックを防御する際の注意点

ブロックする時は手首の角度に注意をしなければいけません。ガードとして何発も相手のパンチを受けるわけですから、手首や手の甲に掛かる衝撃をできる限る分散させて受け流す工夫が必要です。例えば手の甲を相手側に向けたスタイルだと、横から強いフックを受ければガードごと弾かれ、相手に顔面やボディの急所を晒してしまう危険があります。また、そのような体勢では、素早く攻撃に転じる事もできません。手首の角度は、やや八の字気味にすると安定します。

 

ヘッドスリップ

ヘッドスリップとは、文字通り頭を軽く振ってパンチを交わすディフェンス・テクニックです。頭を振るといっても、実際はボディワークで上半身をゆすって、必要最小限の動きでギリギリ相手のパンチを避けるのが望ましいです。テクニシャンのボクサーにはミリ単位でパンチの軌道を見切り、鼻先をかすめるとか耳をこする間合いでパンチをかわせるようになります。ちなみにヘッドスリップはストレート系のパンチの防御に適しています。

 

インサイドヘッドスリップの注意点

左ストレートをインサイドヘッドスリップで、前方や後方に頭をずらせて避けた時、次の瞬間に今度は右ストレートで頭を狙われる危険性があります。特に後方へ頭を反らせた状態で相手の右ストレートがヒットすると、その破壊力が最も高くなって大きなダメージを貰ってしまいます。それではとても危険なので、インサイドヘッドスリップした後は、すぐに再度ヘッドスリップさせて体勢を整える必要があります。スリップさせるポジションは両足のスタンスを一辺とした正三角形の頂点に頭をもっていきます。

 

ガードを崩さずにヘッドスリップするテクニックも必要

ヘッドスリップでパンチを避ける場合、ボクサーの中にはガードを少し下げた状態で体を振る人がいます。この方が楽にヘッドスリップできるのですが、ガードが崩れていれば、そこにパンチをもらうリスクが高まります。確かにガードを崩さずにヘッドスリップするのは難しい高等テクニックです。ですがディフェンスをより完璧に行うためには、可能な限りガードを崩すべきではありません。積極的に練習を積んで、ガードを崩さずにヘッドスリップできるように頑張りましょう。

 

スウェーバック

上半身を後ろに反らして、ヒットポイントを相手から遠ざける方法でディフェンスするのがスウェーバックです。ヘッドスリップと同様に、パンチそのものをかわすディフェンス法で、ダメージをもらうリスクが軽減されます。たとえパンチが当たったとしても急所を外している事、パンチの威力も半減しているために大したダメージになりません。このスウェーバックは上体だけを後ろにそらしても良いのですが、後ろ足を同時にステップバックさせる事で防御の完成度がアップし、即反撃に転じられるメリットがあります。

 

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スウェーバックではアゴを引いて視線を逸らさない事!

スウェーバックでディフェンスする時は、頭を後ろに反らしてしまい、視線が天井に飛んでいってアゴが上がってしまうケースが多々あります。それではちゃんとした防御ができませんし、戦う姿勢にもなっていません。そこでスウェーバックでは、うなじ(頸椎のあたり)が後ろに引っ張られるイメージで上半身を後ろに反らすのがコツです。するとアゴを引いたままで頭部が後ろにスライドしていきます。これならば、攻防ともにスタンバイ状態をキープできます。

 

ウィービング

ファイティングポーズの姿勢から上半身を屈め、膝の屈伸も利用して重心を下げ、頭ごと大きくUの字を描くようにスイングさせながら相手のパンチを避けるのがウィービングです。この防御テクニックはフック系のパンチに有効で、パンチが出す前の拳に向かっていく感じで頭を振っていきますから、相手はヒットポイントが定め難くなり、繰り出されるフックも空振りさせる効果があります。

 

ダッキング

ダッキングはウィービングと同様に、上半身を振ってパンチを当てさせないディフェンス・テクニックで、ストレートにもフックにも適応できる防御法です。ダッキングのポイントとしては、股関節を軸にして上半身を折り曲げて頭の位置を移動させます。ウィービングの曲線的で複雑な動作に比べて、動きはあくまでも上下の直線運動に限定され、比較的単調な動きです。ですが攻撃に転じるのも容易で、攻守のバランスを保つ点で優れています。

 

ダッキングとターンと併用して攻守両面の効果を発揮

ダッキングとターンを組み合わせることで、ディフェンスの動作の延長線上に攻撃ポイントを作ることが可能です。まず相手のパンチをダッキングで避けて、左右どちらかに再度ステップを掛けます。その踏み出した足を軸にして、さっと体をターンさせ、相手の側面に移動する事で、ガードの薄くなっている角度からパンチを繰り出す事が可能になります。この攻守一体のテクニックを、あのマイク・タイソンが得意技としていたのは有名です。

 

スリッピングアウェー

これまで説明してきたディフェンス法が功を奏さずに、ついに強烈なパンチを食らってしまったとします。こうなると有効な防御法はもうないと諦めてしまうかも知れません。ですが、パンチがヒットした瞬間に採れるディフェンスがあります。それがスリッピングアウェーです。一般的には顔面にパンチを受けた時の防御法で、パンチが当たる瞬間に首をパンチの軌道方向にひねって受け流します。するとパンチは顔面を滑っていって、衝撃をかなり減少させることができます。ちょうど柳の枝に強い風が吹き付けるイメージです。

 

ポイントは首の力を一気に緩めて、パンチの勢いを体内に侵入させない事です。ただし、相手のパンチを見切るセンスや冷静に行動する精神力、そして俊敏な反射動作が要求される高等テクニックで、誰にでもできる技ではありません。

 

スリッピングアウェーから必殺のカウンターでフィニッシュ!

高等テクニックのスリッピングアウェーをマスターしたとしたら、それを攻撃に転嫁するノウハウも学ぶと、完成度の高いフィニッシュブローを獲得する結果になります。つまり相手が右ストレートや右フックを打ってきたとして、それをスリッピングアウェーで受け流しつつ、前のめりに流れていく相手の顔面めがけて絶妙のカウンターを叩き込むといった攻撃がアレンジできます。相手が突っ込んでくるスピードと、渾身の右フックが正面衝突すれば、かなりの破壊力を発揮するはずです。『肉を切らせて骨を断つ』正にKO必至のフィニッシュブローが完成と言えるでしょう。

 

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