ボクシングのフックの打ち方|コツは肩甲骨の使い方

ボクシングのフックの打ち方|コツは肩甲骨の使い方

左フックの打ち方

左フックとは、右利きの選手が基本の構えから前手である左拳を旋回させる形で繰り出すパンチで、ミドルスタンスで抜群の衝撃力を発揮するパンチです。確実にヒットした場合はKOに繋がる威力を持ちます。またバリエーションが多彩なパンチですから、多くの選手が得意のフィニッシュブローとしている点も特徴的です。ここでは頭部への左フックとボディへの左フックの基本的な打ち方を紹介します。

 

頭部を狙った左フックの打ち方

ファイティングポーズの状態から、ちょうど右ストレートを打つ要領で、顔を相手に向けたまま肩から右半身を反時計回りに前に出します。その反動を利用して体を反転させ、遠心力を十分に利用して左腕を横から回すようにパンチを繰り出し、相手の顎やコメカミといった急所を側面から打ち抜きます。

 

肩甲骨の使い方に注意するのがコツ

左フックは肩甲骨の使い方に注意が必要です。パンチを繰り出す初動時に、左の肩甲骨を背骨にしっかりと寄せてから拳を振り始めなければ威力が発揮されません。そして打ち終わりの形では、左の肩甲骨が開ききるまで腕を振りぬくのがコツです。反対に右肩甲骨は固定する感じでキープします。左腕の振りの反動に右半身が後ろへ引っ張られないように固定すると、右半身が支点の役割を果たしてくれます。こうすることで体全体のブレを抑制し、左フックの反発力を増大させることができるのです。

 

肘の角度について

左腕は左半身の回転を受けて後ろから押す感じで繰り出されますが、その時の肘の角度は直角(90度)に固定したままにします。肘がブレてしまうと、パンチ力が肘から外へ分散してしまうために、しっかりと固定しましょう。また拳と肘が水平になるようにパンチを放つのもポイントです。そして打ち終わった時に肘が自然な形で開いて、左肘が自分の顔の前にくるようにします。また、肩をあごに付けてガードさせる事も忘れないようにしましょう。

 

足の使い方にも気を配ります

左フックを打つ時は、体とつま先を回転させるようにしてパンチ力を強めます。その時に両足が内股になるように意識し、左足のつま先を軸にして体を回転させるのがコツです。こうすることで両股関節を中心に運動エネルギーが内旋して、しっかりと左拳に力が伝わります。ただし、両股関節の内旋が意識できていれば、細かなポーズにこだわる必要はありません。

 

スポンサードリンク

 

ボディ(肩や腕やわき腹)を狙った左フックの打ち方

全体的な体の使い方は、基本的に頭部を狙った左フックと同様です。ただし左フックは相手の側面への攻撃に適していて、その破壊力も高いため、ヒットさせ難い顔面よりもボディ(脇腹など)へ繰り出されることが多いです。確実に左フックをボディにヒットさせるには、自分自身の体を少し左へ移動させる必要があります。つまり一歩左側に踏込んでからパンチを繰り出すのがコツです。そして踏み込んだ左足の膝の曲げ具合にも注意が必要です。相手の体勢によっては自身の体を低くしたり高くしたりと、左膝の曲げ加減で打ち込むポイントをコントロールするようにしましょう。ただし振り出す拳の軌道は水平になるのが基本です。

 

左フックの効果的な打ち方

スナップを使ったフックの効果

スナップとは拳をひねる事ですが、フックを打ち込む瞬間に拳を内側にひねり込むことで、相手に与えるダメージを倍増させることが可能です。スナップの効かせ方は、まず左腕の振り出しの際にちょっと肘を跳ね上げます。そのまま体を回転させれば腕のスイングがやや波打ちますが、この揺れがヒットする瞬間の拳のひねりを鋭くさせるのです。いわゆるコークスクリュー式に衝撃が撃ち込まれて、頭にヒットさせれば脳を激しく揺らすことも可能で、瞬時に相手のバランス力を奪えるパンチです。

 

左フックに関するQ&A

Q:ヒットポイントでの拳の角度や、その後のフォロースルーはどうすれば良い?
A:左フックでの拳が当たる角度については、基本的に相手の顔やボディに対して40度の状態が最も破壊力を発揮します。フックによる拳の軌道は、自分の体の中心を軸として円を描いていますので、力学的には遠心力と回転力の合成で、回転方向より40度ほど外側に内旋する力が働きます。この角度でヒットさせたパンチは相手の体の中心方向に突き抜けていきます。つまりヒットポイントに対して真っ直ぐ叩き込むのではなく、斜め40度の角度でパンチを打ち込むのがベストです。

 

またフォロースルーの形としては、相手に拳がヒットした後もその円軌道を描いて振りぬきます。最終的には左拳が自分の顔の方に戻ってくる形でフィニッシュします。ただし、円運動でフィニッシュさせない打ち方もあります。この場合はヒットさせた後、そのまま拳を真っ直ぐに打ち抜きます。この種類のフックは、相手の側面からストレートを打ち込むのと同じ衝撃を与えることができ、パンチ力のあるボクサーであれば、相手を右に吹き飛ばすことも可能です。

 

Q:肘の角度は絶対90度にしたほうが良い?
A:正しいフックの打ち方としては肘を固定するのがベストです。フックを繰り出した時点が90度であれば、ヒットポイントでも90度に固定する事でパンチ力のロスが少なくなります。ですが、必ずしも90度にしなければいけないというものでもありません。左フックを放つ時の相手との距離が開いていれば、当然肘を開いてヒットポントを合わせていかなければいけませんし、反対に接近戦では90度以上に肘をまげてテンプルや顎に拳を合わせる必要もあります。つまり、実戦での状況に応じて肘の角度を調整することが大事です。

 

スポンサードリンク

 

Q:必ず左腕を水平に振らなければいけない?
A:実戦ではプロのボクサーたちが、アッパー気味のフックや打ち下ろしのフックを繰り出しているのをよく見るでしょう。先ほどフックのバリエーションが多彩だと話しましたが、腕の振り方にもさまざまなスタイルが存在します。もちろん基本的なフックとして水平に腕をスイングさせて、相手に与える衝撃力をマックスにするのがベストです。しかし試合中の相手は、常に体を振りながら移動をしていきますので、キレイに水平打ちのフックが放てる状態にあるとは限りません。自分の体勢と相手の体の状態を見極めて、どの軌道で左フックを叩き込めるかを判断し、最短距離の左フックを選択することが肝心です。その場合に、腕を振る軌道がどの方向になるかはケースバイケースとなるでしょう。こういった理由で、フックには様々なバリエーションがあるのです。ただし、どんな形のフックだとしても、左拳の円運動の軌道上には必ずヒットポイントが照準されているべきで、体の向きが開いたり前のめりになったりせず、正面を向いて目標を見続けておくことが大事です。

 

Q:右ストレートから左フックを返す場合、踏み込みは必要?
A:踏み込みが必要です。右ストレートは腕を伸ばした地点がヒットポイントですが、左フックは肘を曲げたままパンチを出すために、右ストレートよりもヒットポイントが自分に近い位置になります。同じ立ち位置でこの2種類のパンチを出してしまうと、物理的に左フックは届きません。もちろん左前の構えであるため、若干左肩が相手に近い位置になり、踏み込む歩幅は小さくても十分に届きます。

 

この点をシャドーでは強く意識して行いましょう。またコーチがミットで受ける場合は、右ストレートを受けた後にミットを前に出して左フックを迎えてはダメです。右から左フックの連打の際に、ボクサーに踏み込ませて打たせるようにしましょう。ただし右ストレートを受けて相手が攻めに突っ込んできた場合は別です。踏み込まずに距離を保って左フックを放つ必要があります。ボクシングは相手の動きに対応して攻撃の方法も変化します。基本はしっかりと身に着けつつ、応用力も同時に養っていかなければなりません。

 

 

右フックの打ち方

右フックとは右利きのボクサーが利き腕で打つフックのことです。利き腕から放たれるフックということで、本来の破壊力は左フックより上になります。もちろんフィニッシュブローとしているプロボクサーも多く、打ち方に関しても多くのバリエーションが揃っています。ここでは大きく、上部分と下部分への2種類に分けて説明しましょう。

 

頭部など上部を狙った右フックの打ち方

右フックの打ち方の基本は右ストレートとほぼ同様です。特に頭部を狙った右フックは振り出す肘・拳の高さをファイティングポーズの時の肩レベルよりやや低くして、水平に拳を振り抜くようにします。また右半身を反時計回りに鋭く回転させてパンチを繰り出しますが、その時に左半身で体がブレないように軸の役割をさせる点も右ストレートと同様です。右ストレートと違う点は、正面に真っ直ぐ突き通すパンチではなく、円軌道を描いて横方向からヒットポイントを捉えるパンチになるということで、腰や右足の爪先の回転、体重移動などはそのまま適用することができます。

 

ボディなど下部を狙った右フックの打ち方

相手の下部を狙った右フックでも、自分の上半身の使い方は頭への右フックを繰り出す時と同様です。注意点としては、ヒットポイントがかなり低い場所になるために、上体を沈めて打ち込む必要があるということです。つまり自分の左膝をヒットポイントのレベルに合わせて深く曲げるのがコツです。もちろん肘・右拳の軌道を水平にすればする程、破壊力が増します。また右フックは、ボディの急所であるひ臓(左脇腹)やみぞおち(胃袋)を狙ったパンチとして効果を発揮します。

 

打ちおろしの右フックの打ち方

例えば相手が体をかがめた状態の時、上から下へと打ち降ろす格好でフックを放つことができます。この場合は自分の体を沈めずに、頭部など上部への右フックと同様の打ち方をします。ただし肘や拳の軌道は、上から下方向にヒットポイントへ向かいます。この時に上腕三頭筋で腕を押していくイメージで腕を振るのがコツです。また肘も自然な形で伸ばしていきます。

 

スポンサードリンク


 
基本 トレーニング ストレートの打ち方 ジャブの打ち方 テクニック ガード